IV.判断基準の適用に当たって

1.判断基準の適用とその監視について

 行政活動を行っている各機関は、まず、自らが行っている活動をここに示した判断基準に基づき早急かつ抜本的に見直す必要がある。その際、見直しの結果に基づく改革の推進は、施策・制度改革に的確に対応して民間が行動様式を変更できるよう、当該改革のタイムスケジュールを明確に示す必要がある。
 また、社会・経済情勢は絶えず変化していることから、行政活動の見直しは経常的に行われなければならない。
 しかしながら、行政には効率化のインセンティブが働きにくいことも勘案すると、行政活動を行っている各機関に見直しを委ねるだけでは、その実効性が確保されないおそれがある。
 従って、行政活動に対する監視機能が必要であり、それを有効なものとするための方策について引き続き検討してまいりたい。

2.立法・司法・地方への要望

(1)  立法・司法への要望
 単に行政自らがここに示す判断基準に基づき見直しを行うだけでは十分でなく、立法・司法を含めた三権の間の相互チェックが有効に機能することが重要である。
  1.  立法に対しては、ここに示す判断基準を踏まえつつ、その時々の社会・経済に適切に対処するために政府全体として取り組むべき課題・目標を示すとともに、行政活動に対する監視機能を充実させることを期待する。
  2.  司法に対しても、国民ニーズに適切に対応するため、行政と民間の間のトラブルの迅速な解決を含む紛争処理機能の充実を期待する。
(2)  地方への要望
 地方における行政活動については、国と地方の権限と責任を明確化した上で、国と同様、ここに示した判断基準を参考としつつ、行政改革を推進することを期待する。

3.民間に求められる課題

 判断基準に基づき、行政の関与を必要最小限にとどめるなど行政改革を推し進めていく場合、単に行政部門だけが取り組むものではなく、民間部門が、その変化に対応して、自らの役割を十分に果たすことが必要である。その際、今後、民間部門では、ともすれば行政に依存するというこれまでの意識を変革し、自助努力と自己責任に基づき活動することが、まず重要である。また、当然のことながら、国民自身がそれぞれ、社会の一員であることを自覚することも必要である。そのためには、自己責任原則の確立など自己改革に早急に取り組むことが期待される。
 これと同時に、可能な限り市場原理に委ねるのであれば、それを有効に機能させるため、民間自身も業界団体等によるいわゆる「民民規制」を排除するとともに、企業会計の改善や内部監査の確立を通じて情報公開を一層進めることが必要となる。


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