1 は じ め に
行政改革委員会は、行政改革の推進に資するため、平成6年12月に活動を開始した。特に、設置法上、規制の改善の推進に関する監視が明示され、規制緩和の推進が重要な課題とされていることから、平成7年4月に規制緩和小委員会を置き、精力的に検討を行ってきた。
今日まで、当委員会は、93回の規制緩和小委員会における検討、42回の公開ディスカッションの実施、規制緩和に関する論点の公開(全7次 115項目)とそれに関する意見・要望の聴取、全国各地における18回にわたる規制緩和に関する意見交換(一日行革委員会、規制緩和フォーラム)など、内外の意見をもとに議論を積み重ねてきた。
こうした検討を踏まえ、これまで「規制緩和の推進に関する意見」を2次にわたり内閣総理大臣へ提出し、今回で3次目の意見提出となる。本意見は、国民各層との双方向の真摯な検討の結果である。政府においては、本意見の指摘内容の実現を図り、規制緩和を強力に推進されることを期待する。
2 規制緩和の推進が目指すもの
市場経済下での世界規模の激しい競争、そして国内の少子高齢化の急速な進行の中、我が国の前途は決して楽観できない。内外の厳しい環境の下、我が国が健全に発展していくためには、真に効率的で世界に通用する経済社会の構築、民間主体による創造的な経済活動の活性化が不可欠である。行政全般に見られる深刻な制度疲労や財政の困難な状況にも鑑れば、規制の緩和・撤廃とそれを通じたシステム改革が実現できるか否かが、日本の構造改革のうえで極めて重要な課題である。
規制緩和・撤廃の意図するところは、国民の自由な活動の基盤を整え、「民でできるものは民に任せる」ことにある。これは、国民生活や経済活動について、行政が一律かつ事前に、参入を規制したり、価格・数量や供給の方法などを管理し決定するのではなく、国民の自由な選択を第一に尊重し、それに合致したものが評価されるという考え方に基本的に変更しようというものである。このように国民・消費者の市場における評価を通じることで、真に合理的で効率的な日本の経済社会を築くことを狙いとしている。同時に、その過程で、弱者への対策など必要な施策を十分に検討・措置し、我が国全体としてより活力のある経済社会システムを創ろうとするものである。
具体的には、参入・価格規制などの緩和・撤廃、時代に合わなくなった硬直的な諸規制の合理的見直し、規制により構築されている既存システムの見直しを総合的に行うことによって、自己責任に基づく自由な活動の実現と市場機能の最大限の発揮、高コスト構造の是正や国民経済の持続的な生産性の向上を図り、自由な個々人の創造性が活きる、創意と活力に溢れる国造りを目指している。
規制緩和・撤廃という言葉には、求める改革の内容として様々なものが含まれている。例えば、@参入・価格規制などの民間活動に対する制約の緩和・撤廃、A既存規制システムの、時代の要請に即した再構築、B裁量の排除による行政システムの透明化、C基準・規格のグローバル・スタンダード化、D行政手続の簡素化・合理化、などである。それぞれの課題に応じて適切に議論を整理し、規制緩和を進めていくべきであることは言うまでもないが、個々の規制緩和の課題を巡ってこれらの要素が重層的に存在しており、横断的な検討と関連事項の一体的な措置が必要であることについて、国民の理解を望みたい。
現在、日本は重大な変革期にある。痛みの先送りや、自らの責任の回避、既得権の保護に汲々とするばかりでは、新時代に相応しい新しい経済社会システムを築くことは不可能である。国民一人一人が、現状の維持に目を奪われ、新しい創造や新規の就業の可能性を否定していては、我が国の前進はない。国民経済全体の生産性を向上させ、停滞を避けるため、予断を持たず、我が国を巡る困難な現状を直視し、改革に真摯に取り組むべきである。
3 規制緩和を進めるに当たっての基本的考え方
(1) 国民の理解と支持
規制緩和を巡る以上のような基本的な認識は、国民の間に共有されつつあると考えられるが、「規制緩和は要は実行」である。総論賛成・各論反対とも言われ、また、規制緩和の議論は、国民には分かりにくいとの指摘もある。行政改革・規制緩和の推進に不可欠である国民の理解と支持を得て進めるためには、何が肝要なのであろうか。
まず、「規制緩和」という概念の中には、様々な性質のものが含まれていることは先に述べたとおりであるが、それぞれの規制の見直しが本質的に何を意図したものであるか、国民の前に十分整理されたものとして示されないことによって、規制緩和に関する議論が必要以上に複雑なものとなっている可能性があった。
また、行政手続の改善についての反対はないが、参入規制・価格規制を見直すとなると、それまで規制により保護されてきた既得権者から、安全・文化・社会的秩序等を理由とする規制緩和反対の意見が述べられることが多い。既得権を失いたくない、競争的になるのは避けたいという本音には触れず、経済的な参入・価格規制と安全・文化・社会的秩序等とが密接に関連しているとする規制維持の主張は、関係する情報の公開が不十分なことと相まって、国民一般に誤解と不安を惹起している面も見落とせない。
加えて、民間企業は何をするか分からない、自由放任にすれば弱者切り捨て、地方切り捨てになるとの「民」に対する不信感が、規制緩和に対する懐疑的な姿勢の一因となっているとも見受けられた。
これまで規制緩和の検討に際しては、規制制度を所管する省庁と関係業界を中心に、「専門性」の名の下に議論され、国民一般の利益よりも既存業界の利害調整に精力が集中しがちであり、しかも不透明な中で決定されているとの印象が、国民には強いことも否定できない。
(2) 委員会の活動方針
委員会は、このような国民の一般的な認識を踏まえ、次のような方針で活動に臨んだ。
ア 検討の進め方
委員会は、「国民本位」で、検討を進めることを旨とした。
まず、規制緩和を検討する小委員会を民間人と学者からなるメンバーで構成し、既得権にこだわらず、常に国民・消費者の視点に立って検討することとした。
規制緩和の検討項目を選ぶに当たっては、国民の意見・要望を踏まえ、従来の省庁・業界の関係者のサークルの外側から、すなわち縦割り構造の外部から、国民の立場で見直しを問いかける必要性についても考慮した。
また、国民にオープンに議論し、また透明性を保つことを重視した。様々に関連する議論を極力整理し、問題点を明解にすることにより、国民の判断に資することにも配意した。例えば、何が議論のテーマなのかを具体的に明らかにする観点から、規制の維持・緩和の双方の考え方を対比した「論点公開」(注)を公表し、検討内容を緻密にかつ分かりやすく呈示するよう努めた。更に、個々の規制に関係する官庁・業界・有識者が一堂に会する形での公開ディスカッションを実施し、どの主張に合理性・説得性があるかをマスコミを通じて国民に判断していただくよう試みた。国民各層から寄せられた意見・要望は、規制維持・緩和に係わらず、取りまとめて公表した。
(注)論点公開:「規制緩和に関する論点公開」(第1次〜第7次)(平成7年7月27日〜平成9年7月17日、行政改革委員会規制緩和小委員会)
イ 検討に当たっての基本的考え方
規制緩和・撤廃の検討に当たっての基本的な考え方は、次のとおりである。
規制緩和・撤廃は、本質的には国民の自由な選択を基礎とした新たな合理的システムの構築を目指すものである。
また、公正で自由な競争が行われる市場の実現を求めており、無責任な自由放任や弱肉強食を目的としているものではない。なお、健全な市場で起こるのは優勝劣敗であり、企業規模等に係わらず市場の要請に的確に対応できない事業体が敗者となる。敗者が生じるから競争を制限するというのではなく、消費者利益を第一に考えるべきであり、また、仮に一旦は敗者になっても、適切に復活・発展が可能となる道を造ることが健全な経済社会であると考える。
必要な安全対策や弱者対策は、経済的な参入規制などで行うのではなく、それを本来の目的とした直接の施策を講じ、的確に行うべきである。
個別課題の検討においては、委員会として規制所管省庁と直接議論し、「説明責任」の原則に基づき、規制の必要性について説明を求めた。行政庁が規制の存在意義・妥当性について合理的に説明できない場合には、見直し・撤廃を行うべきであるとの考えを示した。
なお、規制緩和に反対し規制の維持を求める側から、「規制緩和を主張する側が、緩和後の状況や功罪を明らかにすべきだ」とする主張がなされることがある。しかし、この主張には次の問題がある。まず、「経済的規制は原則自由、規制は例外的な場合のみ、社会的規制も必要最小限」とする政府共通の方針がある中で、何らかの行政目的のために規制を講ずるからには、規制の効果とコスト、弊害について正確に把握し、規制の必要性や妥当性を説明する責任が規制当局にあることは自明である。また、規制緩和後の市場の状況を事前に詳細に示せという主張は、市場に委ねてはじめて結果が分かるという市場経済の本質を無視していると言わざるを得ない。更に、既得権者の経済利益が保証できない限り規制緩和は認めないとするのであれば、そうした主張は国民には全く支持されないであろう。
民間・企業への不信感に関しては、まず、自己責任原則に基づいた市場による淘汰を基本とし、公正なルールを設定し厳正に適用するべきであると考える。競争的になれば民間企業は商品・サービスの質を落とすとの懸念については、我が国製造業が、厳しい競争下での創造的発展の中で、世界に通用する高品質を培ってきた事実を示せば十分なのではないか。
また、規制緩和・撤廃の進展に併せて、情報開示の徹底や、消費者保護のために必要なシステム造りを進めていくべきである。更に、独禁法関連法令の厳正な運用や、PL(製造物責任)などの方法の適切な活用を図るべきである。
この他、規制維持を求める産業・事業者から、自分の分野は、特別・特殊だとする主張も多かったが、国民経済の一員として市場に登場し、消費者に選択されるという意味では同じであると考える。
規制緩和が雇用へ悪影響を与えるのではないかとの懸念が示されることがある。雇用については、経済社会全体として進める構造改革の中で、産業構造の変革が進展し、新たな就業の増大、新しい産業分野への労働力の移動も生じると考えられる。これらに適切に対処するため、必要な雇用対策は、的確に講じていくべきである。
委員会は、「聖域」を設けず、真に国民の視点に立って、具体的な検討を行った。例えば、中小企業を巡る規制に関しては、真面目に努力する中小企業や意欲をもって新たに創業し成長しようとしている中小企業が伸びていくためには、どのような在り方が望ましいのかを、次のような考え方に基づいて検討した。
社会的規制と言えども、必要最小限のものでなければならない。弱者を保護するための施策が、仮に社会的規制としてとらえられるものであっても、必要最小限のものでなければならない。中小企業を保護・優遇するための施策といえども例外ではない。「弱者」である中小企業を保護・優遇するための施策なら効率性を多少犠牲にすることも止むを得ないとの考え方が根強くあるが、その施策がどれだけのコストを要しているか(すなわち納税者や、また物価上昇を通じて消費者等がどれだけ負担しているか)を明らかにした上で、真に必要最小限のものかどうかという観点からの周到な吟味は必ずしも行われてこなかった。当該施策のためにどれだけのコストを要しているか等について、幅広い情報開示のもとで、納税者や一般市民等による的確な監視がなされ、当該施策の妥当性の判断を納税者等が行うことが必要である。
「中小企業イコール弱者」として、一律・硬直的な保護策を講じることは、効率性の追求を阻害し、コスト高を招くとともに、必ずしも中小企業全体の利益にもならない。例えば、公共工事にみられるような、中小企業にできるだけ広く均等に仕事が行き渡るように配分する仕組みは一見公正に見えるが、事業者の自由な競争を抑制すると同時に、コスト低減努力に欠ける事業者が存続し、更にはそのような事業者が新規に参入することを促しかねない。そして結果として、真面目に努力して伸びようとする能力のある中小企業や意欲ある創業期の中小企業の成長機会を奪い、中小企業全体の活力を喪失させるものである。
我々は、どのような経済社会を造ろうとしているのかは、まさに国民の選択に委ねられていると考える。規制によって作られた事業活動の縄張りや国民生活に対する時代後れの制約について、その弊害・高コストを甘受しつつ温存し続けることも一つの道であろう。しかしそれでは国民経済的見地からは立ち行かないこと、負担・弊害を伴いつつ不合理な仕組みを維持することはもはや困難であること、将来世代のためにも勇気を持って制度の再構築に向かうべきだということに、国民の支持と理解とを期待する。
ウ 改革・前進の実現を目指して
委員会としては、画餅ではなく、現実の改革・前進を重視し、行政全般の幅広い課題に渡り、各省庁に規制緩和・撤廃の「実現」を求めた。また、直ちに緩和・撤廃が困難とされるものについては、前向きな検討を期限付きで実施することを要請した。委員会意見は、改定計画(注1)・再改定計画(注2)に最大限尊重され、既に改革・前進が実現しつつある。
4 委員会の検討の成果
平成6年12月に委員会が検討を開始した頃を想起すれば、この3年間に、規制緩和・撤廃には相当の進展があったと考えられる。これは、規制緩和の推進に関する国民の理解・支持を基盤とするものであり、また、関係者の真摯な努力によるものである。
(1) 行政手法の変化
まず、規制緩和・撤廃に関連して全般的な行政の手法の変化が総じて見られることを述べておきたい。
いわゆる事前規制型の行政から事後チェック型の行政への転換、業者行政から市場行政への転換である。日本経済の規模そして市場経済の本質を考えれば、何がどのように供給されるかを、事前に全て行政が適切に決定することは困難である。今後の行政の在り方として、予防的に規制し監督を行うのでなく、市場における国民の選択を基本とし、市場機能を信頼し、公正なルール作りと不適格事業者の厳しい事後チェック・監視が行政の役割でなければならない。
免許などにより市場への参入を規制し、限られた事業者を予防的に監督することで国民の利益を擁護しようとする行政スタイルが、結果的には非効率な既存事業者の温存そして消費者利益の阻害という弊害をもたらしていることが多い。規制産業における不祥事の発生は、事前規制型の行政が有効に機能し得なくなっていることを示していると考えられる。
また、国民の立場からは何が効率的でかつ真に有効であるのかという視点を、行政が一層重視するようになってきた。
安全、環境、文化、社会的秩序などを守るという名目の下に、参入規制などで民間の経済的な活動が規制されてきたが、手段としての妥当性や弊害を検証し、これに代わってより直接的な施策をとるべきではないかとする考え方が広まっている。これまでユニバーサル・サービスの維持の観点から事業者に独占を認めていた分野においても、競争の導入により国民経済の効率化を図るとの考え方も強くなっている。緊急時対応のため政府の関与を残すいわゆるセイフティ・ネットの規制について、平常時には過剰規制となっていないか、緊急時に限定した施策を別途講じるべきでないかとも考えられている。
特に重要なのは、行政における「説明責任(アカウンタビリティー)」という概念の浸透である。何故そのような規制をしているのか、規制の方法や水準は妥当か、他に適切な方法はないかなど、所管官庁はその施策の合理性を、国民に説明する責任があるという考え方が定着しつつあることである。なお、委員会では、昨年12月に提出した「行政関与の在り方に関する基準」において、今後の行政の関与の在り方を見直すに当たっての基本原則の一つとして、「行政の関与が必要な場合には、各行政機関は国民に対する「説明責任」を果たさなければならない」との考え方を示している。
行政と国民の関係を巡る制度として、行政手続法が制定・施行されているとともに、委員会の「情報公開法制の確立に関する意見」に基づき、政府において情報公開法案を本年度内に国会に提出すべく準備中である。行政手法の変化・進展に対応する行政共通の制度の深化・拡充を期待する。
(2) 個別の分野における進展
行政の各分野における規制緩和・撤廃は総じて進んできている。
規制緩和推進計画を例に見てみると、平成7年3月の当初計画(注)では、住宅・土地、情報・通信など11分野で1,091
事項が示されていたが、昨年3月の改定計画では、新規に 569項目が追加され、本年3月の再改定計画では、更に
890事項が追加された結果、再改定計画の事項数は、新たに教育を加えた全12分野で合計2,823
事項となっている。
(注)当初計画:「規制緩和推進計画について」(平成7年3月31日閣議決定)
委員会が検討を行ってきた規制緩和・撤廃の主な例を挙げれば以下のとおりである。
土地・住宅分野では、住宅に関しては、大都市部における宅地供給の促進、定期借家権を含む良好な借地・借家の供給促進策など、住宅に関する様々な規制制度を見直した。また、土地利用に関しては、今後の日本の産業競争力の維持等の観点を踏まえ、工業(場)等制限法(注1)を取り上げて検討し、抜本的見直しを求めた。また、制定時からの環境変化を踏まえた工場立地法(昭和34年法律第24号)の見直しを行った。更に、公共工事に関する規制について、高コストの是正や競争性、透明性の向上という観点から、幅広く検討を行った。
農水産物分野に関しては、繭・生糸の価格支持制度の見直し、酪農及びその関連産業をはじめ、意欲ある事業者の創意が生きる方向での規制緩和、コメの流通など市場の要請に即した制度の見直しを行った。また、農業の経営形態(農業生産法人、株式会社の農業経営等)に関する議論を提起した。
情報・通信分野については、電気通信事業の規制緩和を検討した。NTTについては、各方面の議論を経て、その新しい経営形態の方向づけがなされた。委員会としては、公正有効競争の確保を引き続き求めたい。一方、放送分野においても、急速な技術進歩や放送形態の多様化が進む中、地上放送・衛星放送・CATVが競い合って発展していくための規制の見直しを行った。
運輸分野においては、需給調整規制を基本的に廃止するという画期的な行政の方針の大転換が示され、生活路線の維持や安全性確保等について適切に対応しつつ、計画的に進められることとなった。また、車検制度に関しては、継続的に取り組みが行われている。
流通分野では、酒税の見直しや酒類・たばこの小売販売といった課題につき一定の方向を示した。また、大店法(注2)については、政府において引き続き検討がなされている。
エネルギーについては、委員会が求めたガス供給やガソリンの輸入・販売に関する規制緩和が進んでいる。また、国民経済に広範な影響を有する電力に関する規制制度の見直し、電気事業の改革に関する検討を行った。
法務分野においては、司法制度が行政の規制緩和・撤廃後の経済社会の基盤となる重要なインフラであるとの観点から鋭意検討を行い、法曹人口の大幅増員を求めた。外国弁護士の受入れに関しても同様である。
金融・証券・保険分野については、いわゆる日本版金融ビッグバン、金融システム改革が進められている。委員会としても、3年間を通じて全般的な検討を行い、大幅な見直しを求めた。これまでに、外為法(注3)の改正をはじめ、金融関係機関の業務分野に関する規制緩和、資金調達・資産運用に関する制限の広範な見直しが、市場監視機能の強化とともに推進されてきている。
競争政策分野では、持株会社規制につき、政府として一定の結論が得られたが、大規模会社の株式保有総額規制については、継続的検討を求めたい。また、独禁法(注4)適用除外カルテル等については、廃止の方向で大幅な見直しを求めた。
雇用・労働分野においては、我が国の人的資源の有効活用が重大な課題であることや、産業構造の転換に伴う新しい産業分野への労働力の移動や労働者の勤労観の変化という観点などから、幅広い見直しを行った。この結果、まず、労働力の需給調整に民間活力を大幅に活用するとの視点から、有料職業紹介事業・労働者派遣事業について、労働者保護に留意のうえ、取扱職業・対象業務の範囲のネガティブリスト化への規制方法の変更を伴いつつ、引き続き政府において見直されることとなっており、趣旨を具現化する抜本的な改革の実行を期待する。また、労働時間関係等の制度に関して、変形労働時間制、裁量労働制、労働契約期間について、同様に時代に即した見直しが行なわれることとなっている。女性の時間外・休日・深夜労働については規制が撤廃された。
医療・福祉分野においては、少子高齢化の進行の中で将来に渡り効率的な制度を維持するとの観点で、民間事業者の参入制限の問題や、薬価制度をはじめ、関係する規制制度について幅広く見直した。併せて、消費者主権の考え方に立って、医療の情報公開にも力点を置いた。また、この分野における競争基盤の整備や、行政の関与の在り方を検討したことに加え、医療・福祉関係資格についても、国民の立場からは何が求められているかとの見地から検討を行った。
教育分野については、自立した個人の自律的活動が今後の活力ある社会の基礎であるとの観点から、教育を与える側の創意・意欲が活かせる自由度の拡大、教育を受ける側の選択の実現・拡大を意図し、初等・中等・高等教育の各段階に関して、学校や学習の選択の弾力化、教育内容の多様化、学校設置の弾力化を求めた。
国民生活や事業活動一般に広く関係する分野については、行政書士制度をはじめ資格に基づく業務独占をどう考えるか、資格制度に共通する問題として検討した。また、消防法(昭和23年法律第186号)に基づく技術上の安全規制について、社会的規制は必要最小限という視点から見直しを求め、現在、産業界も交えての検討が進められている。この他、基準・認証等についても、説明責任に基づいた基準・規格の合理的な見直しとグローバル・スタンダード化を基本的な方向として、国民の要望を踏まえ多数の改善を行った。
規制緩和は、とりわけ競争を導入し経済社会を活性化させることを意図している。市場への参入に際して、行政がその業界における需給関係を判断し、供給が多過ぎると考えるときには新規の参入等を認めなくともよいとする、需給調整規制と呼ばれるものがある。委員会は、この需給調整規制について今回初めての試みとして、横断的かつ包括的に個別の条項の検討を行い、委員会の認識を示し、政府における今後の対応を求めた。
(注1)工業(場)等制限法:「首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律」(昭和34年法律第17号)及び「近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律」(昭和39年法律第144号)(以下同じ)
(注2)大店法:「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律」(昭和48年法律第109号)(以下同じ)
(注3)外為法:「外国為替及び外国貿易管理法」(昭和24年法律第228号)なお本年5月の改正により名称を「外国為替及び外国貿易法」に改めた。(以下同じ)
(注4)独禁法:「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(昭和22年法律第54号)(以下同じ)
(3) 規制緩和・撤廃の推進の背景
以上のように規制緩和・撤廃には相当の前進が見られたが、その背景には、次のような要因があるものと考えられる。
まず、我が国を巡る厳しい状況や、従前の行政の手法では必ずしも十分に政策目的が達成されないことなどが国民に広く理解され、構造改革・システム改革の必要性が認識されてきた。政府においても6大改革(行政改革、財政構造改革、社会保障構造改革、経済構造改革、金融システム改革、教育改革)を密接に係わり合っている課題として位置づけ、一体的に推進しようとしている。
また、規制緩和について、政府全体として体系的な取り組みが試みられた。具体的には、網羅的な規制緩和推進計画(平成7〜9年度の3ヵ年計画、当初の5年計画を3年に前倒し)が策定され、個別項目について解決に向けてのスケジュールが明示された。更に、毎年度の改定で拡充を行った。計画の改定に際しては、委員会の意見が最大限尊重されて計画に盛り込まれ、委員会による計画の実施状況の監視活動が実効性の確保に大きく寄与した。また、前述したように委員会がとった、民意の反映、論点公開、公開ディスカッションという規制緩和推進プロセスの透明性を高める手法は、規制緩和に対する国民の理解を深め、他方で規制維持を望む人達を説得する上で、極めて有効に機能したと考えられる。このような制度的な工夫等により規制緩和が進み、また、様々な改革を進める横断的な梃子として、規制緩和・撤廃が認識され、検討されるようになった。
5 今後の課題について
規制緩和・撤廃は、行政の在り方に関する基本的発想の転換の上で、膨大で広範な規制を常に見直し、時代の進歩に即した制度に改めていこうとする不断の改革である。委員会のこれまでの検討を踏まえ、今後の課題と考えるものを指摘すれば以下のとおりである。
(1) 継続的な取組みの必要性
我が国における規制緩和・撤廃は相当進められてきているが、他方ではそれが本格的に始まったところと言ってもいい状況である。委員会の指摘を踏まえて改革が図られている事項に関しても、法律・政省令の改正や、告示・通達の改廃、関連する施策の措置に至るまで、その具体化はこれからのものも多い。また、規制緩和・撤廃の個別の課題について、国民経済的見地から検討すべき事項も多々残されていると考えられる。さらに、必要に応じて設定される規制も、時の経過とともに陳腐化することは避けられない。
こうした点に鑑みれば、措置すべき事項の確実な実施や、新たな問題の提示・解決について、引き続き継続的かつ計画的な制度見直しが必要である。
委員会の経験に基づけば、抜本的な規制の見直しを進める要諦は、縦割り構造の関係者の外側から行政を見直す機能を確保することにある。狭い関係者の利害調整のみに目を奪われることなく、国民全体の立場から何が望ましいかを問い質し、中長期的視点で考えることが必要である。
その際、聖域を設けず、行政の全分野に渡って検討・見直しの対象とすることを銘記すべきである。ある分野は精力的に見直す一方、ある分野は検討の対象としないということでは、改革の推進に対する国民の理解は到底得られないであろう。
また、国民からの個々の要望について、真摯に受けとめ、実効ある改善を図るべきである。国民生活或いはビジネスを巡る規制の障害は、それぞれの当事者にとってはいずれも重大な問題である。所管行政庁が既存制度を大前提として改善できない理由を示すだけでは、国民は説得力がないと感じていることを、行政は正しく理解し対処するべきである。
(2) 今後の横断的な課題
委員会のこれまでの検討を踏まえ、今後の横断的な課題として考えられるものは次のとおりである。
ア 規制緩和という視点
委員会が規制緩和の観点から検討を行った項目のうち、規制の在り方を論ずるだけでは、ある意味でシステム全体の見直しに十分には達しない論点があった。例えば、補助金制度や税制、保険・給付制度が当該システムの重要な要件となっている分野、即ち、土地に関する制度や、農業に関する制度、或いは医療・福祉に関する制度に関しては、時代の進歩や環境の変化に根本的に対応していくためには、規制の在り方を論ずると同時に関連制度全体の包括的な検討が不可欠であり、規制緩和・撤廃をシステム見直しの出発点として、幅広く真摯に検討することが期待される。
イ 地方規制、民民規制
第2次意見(注)でも指摘したとおり、地方公共団体が講じている規制(いわゆる「地方規制」)、民間事業者または事業者団体による事業活動の規制(いわゆる「民民規制」)の問題は、国民の活動を制約するという意味では国の規制となんら変わるところはない。また、国が規制を緩和・撤廃しても、その一方で地方規制・民民規制が強化されては、規制緩和の実効は挙がらない。
こうした課題について、地方自治の趣旨や民間の活動であることから、そもそも誰がどのように検討するべきかという論点もあるが、少なくとも以下に指摘する課題については、関係者は十分認識し適切に対処すべきであると考える。
「地方規制」についての考え方は次のとおりである。まず、規制そのものが不合理で過剰規制ではないかとの疑問が国民から呈されるものについては、関係行政庁は、説明責任に基づき規制の妥当性・合理性を明らかにすべきである。また、規制の決定過程及び運用の透明性を高めるべきである。行政手続については、行政側が一方的に過剰な負担を申請者に課しているとの批判があることに鑑み、国民負担を極力軽減すべきである。制度所管省庁が、全国的に著しい差が生じないことを意図している政策については、その趣旨の実現のため関係行政庁間で十分連携を図るべきである。更に、地方規制の設定に当たり、国際約束との乖離が生じないよう十分留意する必要があり、その検討・確認を行う機能の在り方を検討すべきである。
なお、国の法令や各種制度が地方公共団体の活動や制度設計を律している場合もかなり多い。これらは、国が地方公共団体を通じて国民生活・経済活動を制約しているものであり、こうした規制等も早急に見直していくべきである。
「民民規制」は、一見国の規制に基づくように受けとめられているものもあり、問題を一層分かりにくくしている。その背後に競争制限的な行政指導がある場合、行政はそれを早急に見直すべきである。行政が何ら関与していない場合には、誤解を解くためにも、関係省庁は、関与していない旨を改めて周知し、責任の所在を明確化すべきである。公益法人の活動が新規参入の阻害や高コストの原因となっている場合には、「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」(平成8年9月閣議決定)に沿って、引き続き適切に措置すべきである。競争制限的な民間慣行については、特に経済構造改革の観点から、公正取引委員会その他の関係省庁が強力に取り組み、厳正に対処することを期待する。
国民から見れば、地方規制や特に民民規制は、そもそもどうすれば改善されるのか不透明なことが多い。国の規制とともに、国民の声を統一的に把握し、適切な当事者・行政庁に問題の所在を指摘し改善を求める機能が必要とされているのではないか。
国の規制のみならず、地方規制や民民規制に関しても、行政に対する意見や提案、苦情などが、政府部内で体系的に処理され前向きに措置される仕組みを構築強化することが、国民との信頼関係の増進に繋がり、行政改革・規制緩和に対する国民の理解・支持も得られることになると考える。なお、こうした取組みは、政府による市場への新たな介入となってはならないことは言うまでもない。
(注)第2次意見:「規制緩和の推進に関する意見(第2次)-創意で造る新たな日本-」(平成8年12月16日行政改革委員会)
ウ 需給調整規制
「需給調整規制」を設け、許認可により自由な新規参入を制限し、入り口で事業者の適格性を行政が判断するとともに、既存事業者の安定的操業を確保することによって、一定の行政目的を達成しようとする方法がこれまで広くとられてきた。しかしながら、需給調整規制によって非効率な事業者が結果的に温存されているのではないか、或いは、競争を通じたコストダウンが十分図られていないのではないかなどの懸念がある。
例えば運輸分野において、需給調整規制を基本的に廃止するとの考え方が昨年示されたことは大きな進歩であり評価されるが、他の行政の様々な分野において需給調整規制がなお存在していることも事実である。残っている需給調整規制について、それらを所管している各省庁は、「競争的産業における需給調整規制ではない、社会的規制であり必要である」などの見解を示しているものが多い。
再改定計画においては、「競争的産業において需給調整の観点から行われている参入・設備規制については、特別の場合を除き廃止の方向に向かうよう努める」とされている。
委員会は、初めての試みとして、現に残存している需給調整規制と考えられるものについて横断的・包括的に調査・検討を行い、当委員会の個別規制に関する認識を述べた。政府においては、今後、当委員会の認識を受けとめ、真摯に取り組むことを期待したい。
エ 認証・検査検定、資格制度
国民生活や経済活動に関して、法令により一定の制約がなされているものとして、認証・検査検定などを指定された機関が独占的に行っている場合や、資格制度により特定の者に行為が限られている場合などがある。認証・検査検定については、その拠り所となる基準・規格の策定を、行政が独占的かつ一律に行っている場合もある。
「指定機関制度」については、能力・要件を満たす主体の参入が不当に制限されていないか、ある種の既得権が既存機関に発生していないかなど、幅広く検討する必要がある。これまで行政の効率化の観点から認証・検査検定の外部化が行われてきた事例が多いが、機関指定の透明性やコストの合理性について十分留意すべきである。また、製品安全については政府認証から製造事業者の自己確認への移行、産業保安については設置者の自主保安をできる限り導入し、政府の直接的規制の必要最小限化、当事者たる民間企業による自主検査の導入・拡大や基準のグローバル・スタンダード化の推進等を、常に念頭に置いて検討を進めるべきである。認証・検査検定の実施や基準・規格の策定には専門性が必要であるため、こうした分野こそ、日々の技術進歩の中で活動している民間の高度な能力を活用すべきであり、直接行政が携わるべきという発想を転換する必要がある。
「資格制度」は、もとより専門的能力が備わっていることを資格として表しているものであるが、少子高齢化の中で日本全体として人的資源を如何に有効に活用するかとの観点も踏まえ、個々の資格制度があまりにも高い垣根になっていないか、また、実態を反映しない参入制限的な設定になっていないか、更に、有資格者の既得権益を不当に保護することとなっていないかを、業務の内容に着目しつつ検討すべきである。委員会では、例えば法律関係の資格に関して、これまで弁護士について意見を提出していることに加え、本年度は行政書士について検討を行った。基本的な方向としては、比較的類似した業務を行っている場合には、その経験を勘案して受験資格など資格取得要件を緩和することにより、社会で現に働いている有業者の他の資格取得を容易化させたり、また、行える業務範囲を拡大して、類似業務の間での相互乗り入れを進めるなどの方法を講じていくべきであると考える。更に、そもそも資格保持者以外の行為を規制する合理性がどの程度あるのか、常に資格横断的に検討するべきである。
オ 規制緩和の効果
規制緩和に伴う経済効果について、これまでも経済企画庁や通商産業省から試算の結果が公表されている。
経済企画庁の試算によれば、規制緩和の効果として平成2年度から6年度の需要効果は年平均7.3 兆円、名目 GDP比で 1.55%程度となっている。また、規制緩和などの経済構造改革の進展により、平成10〜14年度の実質 GDP成長率は、年平均0.9%程度上昇する。経済効果が累積する結果、平成14年度の実質GDPのレベルは、5.8%たかまるものと見込まれている。
一方、通商産業省の試算によれば、1995年から2001年までの規制緩和による経済効果は実質 GDPを6.0%押し上げ、延べ39兆円の設備投資額の増加、消費者物価の3.4%の下落などの効果をもたらす。
こうした試みは、規制緩和・撤廃に関する国民の関心と理解を深めるという意義があり、高く評価したい。
もとより市場経済の本質を考えれば、個々の項目の規制緩和の数量的効果を、事前にかつ仔細に予測することは困難であるが、規制緩和の効果を総体として国民の前に明らかにし、引き続き理解を得ていくことを望みたい。
カ 広報充実の必要性
規制緩和・撤廃の検討を進める過程で、国民から広報の拡充を求める声が強くあがった。論点公開などへの意見・要望をはじめ、全国で開催した一日行革委員会や規制緩和フォーラムでの発言、国政モニターの結果などでは、規制緩和の推進に期待と賛意が全般的に示されると同時に、どういった基本的考え方で何をどのように進めているのか、国民に一層広く知らせるべきだとの声が多かった。官庁や規制維持を求める既得権者側の情報の公開を求める声や、規制緩和に関する検討過程への参加を望む声もある。今後の規制緩和・撤廃の検討に当たっては、透明な議論に努めるとともに、その考え方や内容を国民に伝えるため、一層努力されんことを期待する。
6 規制緩和に関し期待すること
(1) 国民への期待
規制緩和・撤廃は、国民・消費者の市場における選択を全ての基本とし、市場機能を信頼し、企業家精神が活きる、健全な競争を促進するシステムを築くということである。
市場経済で最も重要な当事者たる消費者には、自己責任原則の確立が求められていることについての自覚を期待したい。また、自ら判断するための正確な情報を主体的に求めるなど、「消費者主権」の趣旨を活かす前向きな行動を期待する。
企業には、市場経済の前提である企業の社会的責任を自覚した適正な企業活動の展開を期待する。
(2) 行政への期待
行政には、国民の負託に応え、新しい経済社会に対応したシステムを構築する責任がある。旧来の考え方の墨守、時代後れとなった制度の維持に汲々とするのではなく、我が国の将来を見据えた上で、規制の緩和・撤廃とシステム改革を更に推進すべきである。また、そのための推進・監視体制の整備を図るべきである。
(3) 公正かつ自由な競争の確保
自己責任原則の下、市場機能が発揮されるためには、公正かつ自由な競争の確保が必要であり、公正取引委員会の役割は一層増大していると考える。したがって、公正取引委員会においては、その責任を十分自覚し、関係省庁との連携のもと、公正かつ自由な競争の確保のために積極的に取り組むことを期待する。
また、行政に代わって意見対立を解決するものとして、司法が規制緩和後の経済社会の基本インフラとなる。司法においては、国民の要請に迅速かつ効果的に応える適切な体制を整備していくことを期待する。
(4) 民間団体等の役割について
第1次意見(注)でも触れられている通り、規制緩和の推進のため、民間には意識改革と自らの行動が期待されるところであり、経済団体や業界団体、消費者団体、労働組合は積極的な役割を果たすべきであると考える。既得権の維持を求めグローバル・スタンダードに適応していかない業界は、結果的に衰退していくことは明らかである。規制緩和に対する「省庁の抵抗」とよく言われるが、その背景には既得権を守りたい業界の意向が強く反映されている。団体内の利害関係に配慮して改革意見を控えたり、規制を巡る調整を政治や行政に任せるのではなく、民間が自ら規制緩和・撤廃を実現するという強い姿勢を貫くことを期待する。
(注)第1次意見:「規制緩和の推進に関する意見(第1次)-光り輝く国をめざして-」(平成7年12月14日行政改革委員会)(以下同じ)
(5) 地方公共団体への期待
地方分権の趣旨に沿い、地域のことは地域で決めていくことが基本であると考えるが、この際、地方公共団体においても、規制緩和・撤廃に積極的に取り組み、国民の自由な活動に対する制約を極力なくすよう努められることを望みたい。
「説明責任」、高度な専門的能力、意思決定における透明性が求められるのは、国・地方のいずれの行政についても同様である。国の規制緩和の基本的方向を十分認識され、構造改革の阻害要因となることのないよう、適切な措置を講じられることを期待する。
7 おわりに
委員会が検討を行ってきたこの3年間、政府一体の取り組みとなった規制緩和・撤廃は相当の進展をみた。そして、規制緩和・撤廃が、我が国の構造改革を進める有力な方法であることも明らかなものとなった。
規制を巡っては未だ多くの課題が山積しており、また、これまで意見として述べた規制緩和・撤廃の具体の実施も確実なものとしていく必要がある。このため、
なお、当面は、政府の行政改革推進本部の下に、民間人主体の委員会を早急に設置し、年度内を目処に策定される新たな規制緩和の推進計画について、当委員会の意見や現行計画における未措置事項の具体化の監視、その他これに関連する内外の意見要望の聴取などを行うべきである。
本格的に始まった我が国の改革への取り組みを更に進めるため、規制緩和・撤廃とそれを通じた徹底的かつ広範なシステム改革を、政府は引き続き強力に推進し、構造改革の実を挙げていくことを強く期待する。