来るべき21世紀に向け、健全で強靱な経済社会を築くためには、引き続き、官主導から民主導社会へ、中央主導から地方主導社会への転換を図るとともに、簡素で効率的な政府を早急に構築することが不可欠である。行政改革の課題である規制緩和、官民活動分担の見直し、行政情報公開、内閣機能の強化・中央省庁の再編・合理化、特殊法人の整理合理化、地方分権等については、ここ数年、大きな前進が見られるが、未だ途上にあるにすぎない。21世紀までに残された時間は少ない。行政改革の大きなうねりが生じ始めている現在、手を緩めることなく、改革の動きをさらに大きなものとし、実効ある行政改革を断行していく必要がある。
その際、今後の行政改革の対象を見渡せば、より一層の政治のリーダーシップが必要になるものと考えられる。また、行政改革の推進を阻むものは、実際には既得権者等であるにもかかわらず、国民には所管省庁の抵抗という表面的な部分しか見えないことも多く、行政改革の最前線に立ってみると、行政改革を取り巻く真の構図が国民に分かりにくくなっていると気づくことが多い。したがって、今後、実行ある行政改革を推進するためには、どのようにすれば、政治のリーダーシップがより発揮されやすくなり、また、問題の本質的な所在が国民に対してより分かりやすくなるかという観点を重視することが必要である。
行政改革の現状を踏まえれば、喫緊の行政改革の課題は、規制緩和、官民活動分担の見直し、地方分権を引き続き強力に推進し、行政改革会議の最終報告を具体化するための行政機能の減量(アウトソーシング)、効率化等を積極的に図っていくことである。政府においては、本年の行政改革委員会の最終意見に沿って、実行に移していくことはもとより、前述の行政改革の諸課題との連携を取りながら、総合的かつ効果的に行政改革を推進していくよう、従来以上に真剣な取り組みを行い、国民の期待に応えていくことを求めたい。
行政改革委員会は、主に、規制緩和、官民の活動分担の見直し、行政情報公開に関して、行政改革を推進してきたところである。今後、政府において、これらの改革課題に引き続き取り組むため、行政改革会議、地方分権推進委員会等他の行政改革の推進体制との関係に留意しながら、行政改革委員会で取り上げた事項の監視・深度化、残された課題の検討等を行い、内閣総理大臣に提言を行う機能を有する、民間人主体の強力な第三者機関を設置すべきである。