11 競 争 政 策
消費者利益の向上と公正かつ自由な競争の確保を図るうえで、市場経済の基本ルールである独禁法の果たすべき役割は、公的規制の撤廃、緩和の推進とならんで、一層重要となる。
したがって、独禁法の的確かつ厳正な運用による競争政策の徹底がより強く求められる。また、独禁法本体およびその運用諸ルール、ガイドライン等についても、複雑多岐に変動する世の中の流れにあわせ、時代の要請にあったものに常に見直される必要がある。
このような観点から、これまで委員会では、持株会社規制の見直しをはじめとした独禁法本体の諸規定と様々な手続きの見直し、さらに独禁法の適用除外に関する見直しについて、意見を述べてきた。
これまでのところ、持株会社の解禁、再販指定品目の廃止、多くの個別法に基づく独禁法適用除外の廃止等のように着実な対応が見られる一方、大規模会社の株式保有規制の見直しのようにその対応が不十分なものや、独禁法や適用除外法に基づく適用除外及びいくつかの個別法に基づく独禁法適用除外については現時点で検討中のものが残されている。
したがって、今後、着実かつ具体的な見直しが行われ、委員会の提言趣旨が生かされることによって、より一層事業者及び消費者の利益に寄与するよう強く希望するものである。
なお、公正取引委員会には、その役割の重要性に鑑み、一層の積極的な活動を期待する。競争制限的な民間慣行に対しては厳正に対処するとともに、競争制限的な行政の関与が行われることのないよう、独禁法の厳正、的確な運用はもちろん、競争制限的な行政指導の是正や規制緩和の推進についても、競争政策の観点からの積極的な調査・提言と行動が必要である。
本意見では、これまでの意見に対する実施状況及び、3年間にわたり継続審議してきた「著作物の再販売価格維持制度の見直し」について、意見を述べる。
【第1次意見及び第2次意見の実施状況】
(1) 持株会社規制、大規模会社の株式保有総額規制の廃止
持株会社を解禁し、大規模会社の株式保有総額規制における規制対象株式を見直す独禁法改正法が、本年6月18日公布され、12月17日に施行されることとなった。
また、その附則に見直し規定が織り込まれた。
委員会では、2度の委員会意見において、一律の規制を維持すべき明確かつ十分な根拠はないと指摘し、これらの規定を早急に廃止するよう提言してきた。
このうち、持株会社規制については、その実質的解禁は一定の評価に値するが、委員会の意見にそった形でさらなる見直しが必要である。
また、大規模会社の株式保有総額規制については、現時点では極めて部分的な見直しにとどまっている。
独禁法改正法附則に織り込まれた見直し規定の趣旨を生かし、委員会意見にそった形で持株会社規制、大規模会社の株式保有総額規制ともに、着実に見直しを進めるべきである。
(2) 再販売価格維持制度指定品目の廃止
全ての指定商品の再販指定告示の廃止が、本年4月1日から実施されたことを評価する。
(3) 合併、営業譲受等の届出制度の見直し
本年度末までに、合併及び営業譲受け等の届出対象範囲の縮減、会社の規模による裾切り要件の設定、株式所有報告の届出対象の裾切り要件の引き上げ、役員兼任届出制度の廃止を含めた独禁法の一部改正案を国会に提出すべく検討が進められていることを評価する。
今後、委員会意見に沿った形で着実に措置が講じられるべきである。
(4) 国際契約の届出制度の廃止
届出義務を廃止する独禁法改正法が、本年6月18日に公布され、同日施行されたことを評価する。
(5) 特定業種の景品制限告示の見直し
29の業種別告示については、本年度中できる限り速やかに見直しを完了するとされていたが、既に28業種の告示について見直しを行い、うち24業種は告示の廃止、4業種(雑誌、家庭電気製品、不動産、医療用医薬品及び衛生検査所)についても一般規定の考え方に沿う形で緩和された。これらの点を評価する。
ただし、29業種のうち、新聞業の告示のみが未だ見直しを終了していない。
新聞の告示について、景品類の提供に係わる基本的な考え方である一般規定の内容に則した見直しを、早急に完了すべきである。
(6) 独禁法適用除外カルテル等制度の見直し
「個別法に基づく独禁法適用除外カルテル等制度」については、20法律35制度についての制度廃止等のための一括整理法の制定(本年6月13日成立)や個別の法改正等の措置が実施又は実施予定となっている。
一方、外航海運、国際航空、環境衛生関係営業等に係わるカルテル制度など、引き続き検討するとして残されたものは、本年度末までに具体的結論を得ることとされている。
また、不況カルテルや合理化カルテル、損害保険料率算出団体、農業協同組合などの一定の組合等の「独禁法本体及び適用除外法に基づく適用除外カルテル等制度」についても、本年度末までに具体的結論を得ることとされている。
独占禁止法適用除外制度は、必要最小限の例外措置にとどめるべきものである。
検討中とされる「個別法に基づく独禁法適用除外カルテル等制度」については、見直しの趣旨を踏まえ、期限までに具体的結論を得るべく、所管省庁及び公正取引委員会の積極的かつ真摯な取組みを求める。これらの中には諸外国との関係への配慮や国際的な協定の見直しを必要とするものがあるが、そのことだけで見直しを躊躇することがあってはならない。経済のグローバル化と日本経済の国際的地位を考慮すれば、他国の提案を待って行動するのではなく、積極的にイニシアティブをとって見直し作業を行うことが望まれる。
また、「独禁法本体及び適用除外法に基づく適用除外カルテル等制度」についても、適用除外となる行為及び団体の全範囲について、制度自体の廃止を含めて見直しが厳正に行われるべきであり、見直しの趣旨を踏まえ、期限までに具体的結論を得るべく、公正取引委員会及び関係省庁の積極的かつ真摯な取組みを求める。
【本年度取り上げた事項】
○ 著作物の再販売価格維持制度の見直し
委員会では、独禁法の適用除外の全面見直しの一環として、「書籍」、「雑誌」、「新聞」及び「音楽用CD、音楽用テープ及びレコード盤(以下「CD等」という。)」に関する再販売価格維持行為(以下「再販行為」という。)についての適用除外制度である、再販売価格維持制度(以下「再販制度」という。)の見直しを、3年間にわたって進めてきた。
再販行為については、流通段階における価格競争を直接制限するなど、市場における公正かつ自由な競争の維持・促進を阻害し、消費者利益を損なうものとして、経済活動の基本ルールである独禁法上原則違法であるとの考え方が確立しており、原則禁止とされている。しかしながら、上記4品目についてのみ、適用除外規定が置かれ、原則違法の再販行為の中で、例外的な取り扱いをされている。
再販行為は、販売店から価格を競争手段として用いる機会を奪い、販売店間の競争を阻害する。この結果、消費者は商品をより安く購入する機会と、より多様で良質な販売サービスを享受する機会を奪われ、消費者利益が侵害される。特に、この4品目については、ほとんど全ての供給者が一致して再販行為を実施しており、このような場合には、競争抑制効果がより大きくなり、消費者利益への弊害も大きくなる。
また、事業者への安定的な利益の保証を意図する再販行為が、業界内部に多くの歪みを存続させ、それが他の流通上の問題とあいまって、事業者の消費者ニーズへの対応を怠らせているなど、それぞれの品目について、以下のような弊害をもたらしていると考えられる。
書籍及び雑誌については、品揃えに乏しい、注文品の取寄せに時間がかかる、在庫検索もできないといった非効率な書店が効率化の取組みに積極的でないまま残っている。また、遠隔地で多様な書籍及び雑誌を安く入手するのに有効な通信販売やブッククラブも、値引きが出来ないため発達し得ていない。
新聞については、過大な景品付き販売の横行、強引な勧誘による消費者トラブルなど価格面の競争がないことによる弊害に加え、同調的かつ安易だと批判される価格引き上げ、新聞社と販売店間の不透明かつ非効率な取引慣行、新聞の内容に多様性が乏しいとの指摘があるなどの問題を生じさせていると考えられる。
CD等については、生産者段階での市場支配力が強く、過去において公正取引委員会から自主改善要請を受けた事実が示すように、価格硬直化をもたらす可能性が大きい。また、遠隔地でCD等を安く多様に入手するのに有効な通信販売も、書籍及び雑誌の場合と同様、発達し得ていない。
このような弊害をもたらしているのみならず、4品目の再販制度は、経済活動の基本ルールである独禁法上原則違法の取扱いが確定している再販行為に関する適用除外制度であるから、その維持のためには、例外的に取り扱うことを妥当とするに十分な「相当の特別な理由」が必要である。見直しの基本的視点は、この点に置かれる。
また、「経済的規制は原則廃止、社会的規制は必要最小限」との原則の採用は、政府の基本方針であるとともに、委員会の基本的方針でもある。この方針を前提に見直すことが、今一つの重要な基本的視点である。上記の「相当の特別な理由」は必ずしも競争政策上の理由だけに限定されるものではないが、仮に、再販制度が、競争政策的観点以外の価値の実現を目的として設定されている制度であるとしても、その維持を正当化するためには、再販制度がその目的達成のために必要最小限のものであるとの十分な理由が求められる。
なお、委員会は、これら4品目が文化を構成する重要な要素である点を強く認識しており、再販制度と文化の維持の関係を論じることの必要性を否定するものではない。ただし、これら4品目が単に文化性を有するとの理由では、再販制度が認められることにならないのは言うまでもない。
委員会は、以上のような基本的視点を前提として、関連論点がそれぞれ異なる4品目ごとに、その「相当の特別な理由」について、以下のとおり検討した。
@ 書籍の再販売価格維持制度について
書籍の再販制度と一国の文化水準については、書籍に再販制度が認められていない国の文化水準が日本と比べて低いと認めることは困難であり、本来、関係がないものと考えられる。
書籍の多様性については、再販制度との関係は明確ではない。まず、小売段階における書籍の展示効果と書籍の多様性との関係については、画一的な中小書店は、現在でも展示効果を期待できる品揃えをしているとは言いがたい。また、大規模書店は、多品種・多在庫を特色にしているところが多く、再販制度の有無にかかわらず、展示効果を重視した経営戦略を選択すると考えられる。発行部数が少なく売れにくい本が消費者の目に触れるようになるためには、書店が専門化などの差別化政策を採用することが必要である。再販制度は、価格引下げを含めた書店の販売努力も、それがない場合に比べて、阻害してしまう可能性が高い。
出版段階における書籍の多様性についても、再販制度との関係は明確ではない。売れにくいが学術的・文化的な価値が高いとされる書籍については、再販制度の有無によって需要自体が大きく変化するわけではないと考える。また、いわゆる売れ筋の商品の価格拘束によって得られた超過利潤で、売れない商品の赤字を埋める「利潤移転」の効果も一概には認められない。現状でも、出版社が、損失の発生があらかじめ予測できる書籍の出版に熱心だとは思われない。さらに、多数の小規模出版社では、年に数冊程度しか出版していないところも多く、あらかじめ利潤移転を期待することはできないと思われる。
全国統一価格と文化享受機会の公平・均等性との関係については、商品の価格に流通コストが反映されるとしても、再販制度が無くなることが、文化享受の機会の公平・均等性を阻害するというほどの実質的な価格差を生み出すとは考えられない。また、読者によって個々の書籍に対する評価は異なるので、購入する価格に多少の差があっても消費者利益には反しないと考えられる。全国統一の希望小売価格が設定されている商品を、小売店が希望小売価格より高い価格で売ることはほとんどなく、書籍についても同様であると考えられる。また、前述したような通信販売などの手段の発展によっても、地方部の人々への公平・均等性は確保され得るであろう。
価格競争が中小書店の経営に与える影響については、再販制度を外すことによって、新古本による二次マ−ケットの活性化や大規模小売書店やディスカウンターによるベストセラー本の若干の価格引下げが起こることは考えられるとしても、新本について書店間で価格競争が一様に激化するというのは非現実的であると推測される。価格競争の激化は、大量販売商品でないと発生しにくく、書籍の場合には他の商品のような輸入品やPB(プライベート・ブランド)の開発による安い供給源の開拓の可能性が限定されるからである。仮に、影響があるとしても、より読者ニーズに応えられる品揃えの豊富な店や専門性の高い店が画一的な書店に置き換わる方が、身近に文化に触れるという観点からも、消費者にとりプラスとなるであろう。
著作権使用料の算定基準については、再販制度のない国では、卸し価格や希望小売価格をベースにこれを算定しており、再販制度がないと著作権使用料が決定できないということはないと考えられる。
A 雑誌の再販売価格維持制度について
雑誌については、書籍で述べた論点の他、以下のような論点がある。
雑誌と通常呼ばれる定期刊行物は、週刊誌に代表されるように、一般に書籍とは異なりその寿命が短い。このため、再販制度が、小売店での長期店頭展示や出版元の長期在庫保有を促し品揃えの多様化に貢献するとは考えにくい。
また、販売部数の少ない専門雑誌については、もともと特定の購買層が存在する場合が多く、再販制度の有無とは関係なく、他の多くの諸外国と同様に、定期予約講読や通信販売などによって出版が維持されると考えられる。
膨大な種類の雑誌の全国同一発売日における発売については、雑誌の再販制度という小売価格の拘束行為が、それを保証しているわけではない。
売上高の多くの部分を雑誌販売に負っている中小書店の経営、ひいては読者への影響については、書籍と同様の議論となると考えるが、追加的に述べるならば、最寄りの小さな書店で販売されているような、いわゆる売れ筋の雑誌は、近年コンビニエンス・ストア等でも購入可能となっており、読者の入手機会は、既に大きく拡大していると考えられる。
B 新聞の再販売価格維持制度について
新聞の発行が民主主義の発展に重大な貢献をするとされるが、新聞に再販制度が存在しない国でも多様に発行されており、そのような国々で、日本と比べて民主主義の水準が低いと認めることは困難である。新聞の再販制度と民主主義の水準は、本来関係がないものと考えられる。
再販廃止によるコスト削減と紙面の質との関係については、第一に、経費節減・効率化のためには、質を低下させる以外に、様々な面での工夫の余地があり得る。第二に、他の商品の場合と同じく、消費者のニーズに応えない品質の新聞は消費者の支持を失うだけであるから、多くの新聞社が紙面の質を低下させることはありえない。もしも、質を落として安い価格で提供することが消費者獲得のためにそれほど有効な手段であるならば、これまでにも、そのような戦略を採用して市場を席巻した新聞が存在するはずだと考えられる。
戸別配達については、再販制度との関係は明確ではない。責任区域制による戸別配達の維持と定価販売の維持は、基本的には別の課題であると考えられる。さらに、戸別配達に対する消費者のニーズが高ければ、戸別配達は新聞社相互間の強力な競争手段とみなされる。その場合、新聞社と販売店はその維持を重要と考えるであろうから、消費者ニーズに対応した努力と競争が行われる結果、再販制度の有無に関係なく、各社は戸別配達を維持すると推測される。なお、再販制度のない国のうち、英国の戸別配達率は低いが、米国では70%強に達している。
遠隔地での戸別配達の維持についても、新聞社自らが「戸別配達のネットワークは排他的でなく、他紙からの配達依頼は原則受け入れている」と述べているように、複合・合売方式での存続は十分に可能であると考えられる。現実にも、一つの販売店で多種類の新聞配達を行っているし、既に離島などでは郵送という手段も採用されている。
同一全国紙の全国統一価格と文化享受機会の公平・均等性との関係については、商品の価格に流通コストが反映されるのは一般的であると考えられ、現状でも、同じ新聞社の新聞について、地域により実質的に異なる内容の新聞が同一の価格で供給されている。全国統一の希望小売価格が設定されている商品を、小売店が希望小売価格より高い価格で売ることはほとんどなく、新聞についても同様であると考えられる。このため、再販制度が無くなることが、文化享受の機会の公平・均等性を阻害するというほどの実質的な価格差を生み出すとは考えられない。
新聞販売店の経営への影響については、既に異なる新聞系列の販売店間には景品等による激しい顧客獲得競争があることを考えると、再販制度の廃止が、現在の新聞販売店の状況を現在より悪化させるとは考えにくい。むしろ、価格割引ができないために景品競争に偏重している現状から、長期購読契約者に対する割引制度の導入など、価格競争を含めた多様な手段による競争への移行を促し、新聞社間の競争を適正化する効果のほうが大きいと考えられる。
再販制度のない国で見られると言われる熾烈な価格競争による買収合戦と、新聞の多様性との関係も明確ではない。買収合戦は新聞社自身の競争的価格設定によるものであり、新聞販売店による価格競争の結果であるとは考えられない。
C CD等の再販売価格維持制度について
CD等については、書籍で述べた論点の他、以下のような論点がある。
先進国の中で、CD等に関して再販行為を例外的に独禁法適用除外としている国は、唯一、日本だけである。再販制度の存在しない諸外国においても、現に、多様なCD等が発売され、自国内はもちろん、世界に通じる音楽文化を維持しており、売れ行きの遅い芸術性の高い作品や伝統音楽等も販売されているという実態がある。このように、再販制度とCD等の多様性との関係は明確ではない。
レコード店における展示は、再販制度の下で画一化の傾向が見られ、とりわけ中小レコード店は、いわゆる売れ筋商品に偏る傾向が強いと認められる。また、公正取引委員会の消費者アンケート調査が示すように、店頭の展示によって購入判断をする消費者は少ない。商品概要を確認するには、書籍であれば、店頭で手にとってみることで可能であるが、CD等では視聴しなければならない。しかし、「試聴して買ったことは無い」消費者がほとんどであり、再販制度による展示効果は、書籍以上に稀薄であると考えられる。
以上のように、4品目のいずれについても、現行再販制度を維持すべき「相当の特別な理由」があるとする十分な論拠は見出せなかった。
現行再販制度は、これまで、これら4品目の多様性の確保や文化の公平な享受を実現することによって、文化の振興・普及に大きな役割を果たしてきたとされ、その見直しについて、国民から様々な懸念が示されている。典型的には、新聞の戸別配達網の混乱・廃止につながるのではないかとの懸念、専門書、学術書や邦楽、交響楽等のCD等の発行が困難になるのではないかとの懸念、仮にこれらの懸念が現実となった場合への対応が困難ではないかとの懸念、地方によっては情報へのアクセスが不利になるのではないかとの懸念、流通の実態面からの懸念、等である。また、既に在る再販制度に対して、消費者の利益を大きく侵害していると日常生活の中で国民が実感することは多くはないとも言われるところである。
こうしたことから、国民の間には、再販制度廃止論への支持が見られる一方、以上のような懸念などを背景に、再販制度の取扱いについては慎重に対応すべきだとする論も強いものがある。
以上により、委員会が示した、現行再販制度を維持すべき「相当の特別な理由」があるとする十分な論拠は見出せないとの認識が、国民に十分に浸透されていくことを期待するとともに、著作物の再販制度について、国民の議論を深め、その理解を踏まえて速やかに適切な措置を講じるべきである。
なお、再販制度の議論との関係の有無はこの際別として、次のことは指摘しておきたい。まず、消費者利益の向上の観点からは、著作物に関する流通の改善・合理化を図る必要があるであろう。既に、新聞、出版、CD等においては、業界として流通改善への努力が始まっているが、こうした取組みを一層強化していくことが期待される。また、文化の振興は国民誰しもの願いであり、必要に応じ、そのための施策を講じていくべきである。