16 その他事業活動等の制約に対する個別改善事項

本項の個別改善事項は、委員会に寄せられた規制緩和に関する意見・要望の中から、分野別各論において取り上げなかった事項で、個別具体的な改善が求められる事項について、一昨年及び昨年に引き続き、総務庁に調査を依頼し、その結果を踏まえて、とりまとめたものである。

今回と同様な観点からとりまとめ、第1次意見及び第2次意見で指摘した改善事項については、すべて改定計画及び再改定計画に盛り込まれ、既にその多くは所要の改善措置が講じられているところである。残る事項についても、関係省庁において、現在、改善に向けての検討がなされているところであるが、今回の改善事項に対する取り組みを含め、意見の指摘に即した着実な検討と実施の早期化が図られるよう一層の取り組みがなされることを期待する。

【今回新たに取り上げた個別改善事項】

(1) 土地・住宅

ア 特殊建築物等の定期調査(検査)報告

(ア) 特殊建築物(注)の定期調査報告については、特定行政庁における多様な指定実態を踏まえ、建築物の所有者等報告者の負担軽減の観点から、報告対象物の範囲及び報告期間に関する建設省の指定方針の改正を行う。

(イ) 昇降機の定期検査については、有資格者が保守点検を実施している場合、保守点 検の際に併せて定期検査が実施可能であることを周知するよう特定行政庁を指導する。

(ウ) 同一の特殊建築物が定期調査と建築設備の定期検査の対象となっている場合は、 特殊建築物の定期調査報告の項目のうち、重複している建築設備に係る項目は、省略可能とするように特定行政庁を指導する。

(エ) 特殊建築物の定期調査報告に添付を求めている案内図は不要化し、配置図及び各階平面図については、変更がない場合にあっては、これを不要とするように特定行政庁を指導する。

  1. 定期調査(検査)報告において、公益法人等が行っている事務代行業務等は、任意 の行政支援業務であること及び同法人等を経由して報告することは、任意であることを明確化するように通達により特定行政庁を指導する。

(注) 特殊建築物…劇場、ホテル、百貨店等の不特定多数の者が出入りする建築物で特定行政庁が指定した建築物。

イ 宅地建物取引主任者の登録

(ア) 資格試験を実施した都道府県知事において行うこととされている宅地建物取引主任者の登録については、当面、郵送による当該都道府県への申請を推進して申請者の負担軽減を図ることとし、試験を行った都道府県知事以外の都道府県知事における申請の処理を可能とすることについても、機関委任事務の整理合理化との調整を図りつつ、検討を行う。

(イ) 宅地建物取引主任者の登録の移転について、経由事務の合理化を図ることにより、移転先の都道府県知事における処理を可能にする。この場合、住所並びに業務に従事する宅地建物取引業者の商号又は名称及び免許証番号の変更の登録についても当該登録移転申請と同時に行えるよう措置する。

(ウ) 登録、登録の移転及び変更の登録の申請に係る提出書類の範囲の明確化及び削減を図る。

(2) 農林水産業

ア 農業倉庫業の認可等

農業倉庫は、自主流通米、政府米等の集荷用の保管倉庫としての機能を有しているものの、農業倉庫業法(大正6年法律第15号)に基づく認可制度、寄託・保管手続等の規制は形骸化している面があり、その実態を踏まえて、農業倉庫業の在り方を含め、同法の規制を見直す。

イ 林業種苗の生産・配布

(ア) 生産事業者の登録等に係る事務の自治事務への移行と併せ、生産事業者の登録制、 配布事業者の届出制について、これら者の活動実績等を踏まえ検討を行い、所要の見直しを行う。

(イ) 指定採取源(注)については、都道府県における指定・解除等の実態を踏まえ、指定の適切な見直しを行う。

(注)指定採取源…農林水産大臣又は都道府県知事が指定する優良な種穂の採取に適する樹木又はその集団。指定採取源の所有者等には樹木伐採の制限が課される。

ウ 漁業施設用地等利用計画の策定・変更

(ア) 漁港施設用地等利用計画の漁港管理者等の水産庁長官への協議について、協議事 務の標準処理期間を設けるなどの措置を講ずることにより、協議期間の短縮化を図る。

(イ) 漁港施設用地等利用計画の協議申請書の添付書類について、変更協議時の添付書類である現行漁港施設用地等利用計画平面図を不要とするとともに、漁港管理者に対して、不要な添付書類を提出しないよう周知を図る。

(3) エネルギー、流通

ア 揮発油品質維持計画の認定

(ア) 揮発油品質維持計画(注)(以下「計画」という。)の期間について、同一流通経路での計画の認定を3回以上受けた給油所については、揮発油販売業者の希望に応じて計画期間の複数年化(2年)を認めることとし、計画期間中の揮発油の分析については、計画期間が複数年であっても、1年に1回実施するものとする。

(イ) 新規計画認定申請について、当該揮発油販売業者が既に認定を受けている他の給油所の流通経路と同一の流通経路であると確認される場合、当該給油所の申請に係る1月間の揮発油分析結果については、添付しないことを可能とする。ただし、この場合にあっては、認定を受けた後、10日以内に認定を受けた通商産業大臣又は通商産業局長に揮発油分析結果を提出することとする。

  1. 同一の流通経路となる複数の給油所を有する揮発油販売業者の計画の認定申請及び計画期間の延長申請について、給油所の連記により同一の申請書で一括して行うことを可能とするとともに、添付書類についても一括作成可能なものについては、同様の取扱いとする。

(注) 揮発油品質維持計画…揮発油販売業者が給油所ごとに作成する計画で、販売する揮発油について、流通経路が継続的に保たれ、品質に変更が加えられることなく販売され、過去粗悪品を販売していないこと等の要件を満たせば、通商産業大臣又は通商産業局長の認定を受けることができ、揮発油分析義務が軽減される。

イ 自動販売機による食品販売の営業許可等

(ア) 自動販売機による食品販売に係る営業許可については、食品衛生上最低限の衛生確保を図るため、調理の実態からみて営業許可の要不要が明確になるよう営業許可についての考え方を整理し、各都道府県等に周知する。

(イ) 営業許可申請については、各都道府県等に対し次の事項を指導するとともに、申請窓口を自動販売機の設置場所を管轄する保健所に限定せず、管内いずれの保健所でも申請することができるとする事例もみられることから、地方公共団体における申請の電子化の進展を踏まえ、申請書類の受付方法の合理化を指導する。

@ 設置場所管理者の承諾書など不必要な書類は添付させない。

A 許可手数料の徴収の際、食品衛生協会への加入が強制加入であるような誤解を生じさせない。

(4) 保安、基準・認証、輸入手続

ア ボイラー等の性能検査

(ア) ボイラー及び第一種圧力容器の運転時検査(注)に関する認定制度については、性能検査代行機関が行っている事前審査の位置づけを明確にするとともに、認定に係る申請書類の明確化・簡素化、審査の迅速化、審査手数料の明確化及び合理化を図る。

(イ) 性能検査の検査結果により検査証の有効期間を短縮又は延長することができる 制度の活用を図るため、短縮又は延長できる場合の基準等を明確にすることについて検討する。

(注) 運転時検査…ボイラー等を運転したままの状態で行なわれる性能検査(通常は、運転を停止し、内部を開放した状態で検査)。

イ 液化石油ガス器具の製造等

(ア) 登録製造事業者が設置しなければならない特定検査設備については、使用の実態等を踏まえ、設置義務機器の見直しを行うとともに、同等以上の精度を有する代替機器がある場合の取扱いを、通商産業局及び事業者に周知徹底する。また、一時的レンタル及び他者が設置する設備の使用を認める。

  1. 登録製造事業者の検査規程の変更承認を事後届出とする。
  1. 第一種液化石油ガス器具等の第1検定については、指定検定機関が別途第1検定 の前に同一内容の検査を行う予備検査を実施している実態を踏まえ、申請者の負担軽減の観点から、検定方法の改善を図る。

また、検定における最大ロット数については、申請者の負担軽減の観点から、その拡大等最大ロット数の設定を見直す。

(エ) 登録製造事業者に対する民間の自主認証制度の利用についての指導を定めた通 商産業省の事務処理要領を廃止する。また、法令で定められた制度と民間の自主的制度の相違について、事業者に対して直接及び指定検定機関を通じて周知する。

ウ 医師による医療用具の輸入

(ア) 医療用具のうち、ゴム手袋等の消耗品、日常大量に使用し消耗品に類する治療器具等については、治療による消費の頻度等を勘案して、医師が薬監証明なしに税関限りで通関できる数量の上限を3セット以上に拡大する。

また、数量にかかわらず薬監証明が必要とされている歯科材料についても、一定 数量以下のものについては薬監証明なしに税関限りで通関できるものとする。

(イ) 薬監証明手続の際の提出書類について、以下の簡素化を図る。

@ 歯科材料、日常的に使用する治療器具等、品目等からその内容を容易に判断できるものについては、商品説明書の提出を不要とし、それ以外の場合でも販売業者等の商品説明書、パンフレット等の写しによることも可とする。

A 医療用具輸入報告書及び必要理由書の記載と重複するものとなっている念書 の提出を不要とする。また、消耗品に類する医療用具の場合、必要理由書の記載は、治療上輸入を必要とする理由及び他に販売譲渡せず医師の責任において使用すること等の誓約のみとする。

B 同一医師が数次にわたり医療用具の輸入のため薬監証明を受ける場合におい ては、同一医師であることが確認できれば医師の免許証の写しの提出は初回のみ で可とする。

【第1次意見及び第2次意見で指摘した個別改善事項の措置状況】

〔第1次意見関係〕

【既に改善措置が講じられた事項】

◎ 基準・認証、輸入手続等

○ 食品表示の統一化

○ 乳製品容器包装の使用承認制度の合理化

〔使用承認申請の経由事務の廃止、同時使用承認申請の一本化等、個別承認後の一般規格化の手続・判断基準の明確化等〕

○ 通関業に係る規制の見直し

〔許可に当たり新規参入を阻害するおそれのある運用の廃止、一律に許可期限を付する運用の廃止、既通関業者が他の税関に許可申請した場合の審査の簡略化、緊密な経済圏内の税関区域相互間における営業許可の弾力的運用、営業区域制限の例外として認められる通関手続の対象範囲の拡大、通関業務料金(最高額)設定の趣旨の徹底、営業所移転に伴う手続の簡素化、許可申請書の添付書類の簡素化、通関業営業報告書の簡素化、通関取扱件数報告書(四半期報告)の廃止〕

○ 食品等の輸入手続の簡素化

〔輸入届出書の記載事項の簡素化、一括届出制度の周知、同一品目に関する先行輸入者の自主検査結果の活用〕

○ 高圧ガス等の輸入手続の合理化

〔輸入高圧ガスの検査合格証の即日交付、高圧ガス容器の輸入届出の廃止、外国製造事業者に対する高圧ガス容器の自主検査及び刻印の容認〕

◎ 危険物・防災・保安等

○ 液化石油ガス販売事業者に係る規制の見直し

〔ガス容器に係る帳簿記載事項の削減、許可申請書添付書類の簡素化等、小口の工業用LPGの販売及び消費に係る適用法律の見直し〕

○ 電気工事士等の業務開始届出の廃止

○ タンクローリー車への危険物積載方法の弾力化

○ 専属産業医の一定要件の下での他事業場での兼務の容認

○ ダムの定期検査等の合理化

〔検査周期の判断基準の明確化等、河川管理者等による検査実施時期の調整、河川管理者等に対する報告の様式及び報告時期の統一〕

○ 浄化槽設置に係る規制の見直し

〔建築確認申請における設置届出の不要化の徹底、水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)及び浄化槽法(昭和58年法律第43号)に基づく立入検査等の調整〕

◎ 土地・住宅等

○ 乗用二方向エレベーターの設置に関する建設大臣認定の合理化

○ 建築物の工事完了検査の明確化等

〔工事完了検査の解釈・運用の明確化、仮使用承認制度の運用方法の明確化〕

○ 医薬品販売業の許可手続等の見直し

〔一般販売業等許可申請書の添付書類の適正化、医師の診断書の提出を要する役員の範囲の縮小、薬局に備える試験検査設備器具の範囲の縮小、試験検査機関の指定・公表の在り方の見直し〕

【改善に向け検討中の事項】

◎ 基準・認証、輸入手続等

○ 新車の完成検査終了証の有効期間の延長

○ 通関業に係る規制の見直し

〔通関業の許可等における需給調整基準の廃止、電子媒体を利用した記帳及び保存の容認〕

○ 食品等の輸入手続の簡素化等

〔一括届出が認められる食品等の範囲の拡大〕

◎ 危険物・防災・保安等

○ 火薬類の貯蔵・運搬等規制の見直し

〔販売業者の火薬庫の所有又は占有義務の代替措置による容認、建設用びょう打ち銃用空砲等の庫外貯蔵施設での保管の容認、硝安油剤爆薬の運搬可能設備による製造に係る技術基準等の整備〕

○ 危険物貯蔵所での危険物以外の一定物品の同時貯蔵の容認

◎ 土地・住宅等

○ トランクルームの用途地域における建築制限の見直し

〔第2次意見関係〕

【既に改善措置が講じられた事項】

◎ 事業活動全般

○ 各法令における合併等に係る許認可等手続の簡素・合理化

〔特定工場における公害防止組織に関する法律(昭和46年法律第107号)、高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和42年法律第149号)、航空機製造事業法(昭和27年法律第237号)、武器等製造法(昭和28年法律第145号)、砂利採取法(昭和43年法律第74号)、採石法(昭和25年法律第291号)、揮発油等の品質の確保等に関する法律(昭和51年法律第88号)、電気事業法(昭和39年法律第170号)、電気用品取締法(昭和36年法律第234号)及びガス事業法(昭和29年法律第51号)における合併等に係る許認可等の承継規定の整備等〕

○ 許認可等事務手続の明確化・簡素化

〔合併等に係る有料職業紹介事業の許可及び一般労働者派遣事業の許可の取扱いの周知・明確化、合併等に係る宅地建物取引業の免許及び保税地域の許可における申請添付書類の明確化・簡素化、合併等に係る一般旅客自動車運送事業の免許における申請添付書類の適正化、毒物劇物製造業・輸入業・販売業の登録、火薬類販売業の許可、建設業の許可、宅地建物取引業の免許、建築士事務所の登録及び保税地域の許可における申請添付書類の適正化、建築物清掃業等の登録及び有料職業紹介の許可における申請添付書類の簡素化〕

○ 雇用保険における事業所非該当承認基準の明確化・運用の統一化

◎ 土地・住宅

○ 鉄道施設、送電施設等に係る各種占用手続の見直し

〔道路法(昭和27年法律第180号)上占用許可手続を不要とする施設の取扱いの徹底、道路・河川・港湾区域における占用期間の長期化及び占用許可の更新手続の簡素化、河川区域と港湾区域が重複している区域での占用許可手続の簡素化、土地改良財産の使用許可の長期化〕

○ ガス指定工事店制度の見直し

〔指定基準の明確化・合理化、需要家の工事店選択機会の拡大〕

◎ 運輸・交通

○ 臨時船舶建造調整法(昭和28年法律第149号)による船舶建造に係る規制の見直し

〔船舶建造許可申請手続の簡素化〕

○ 鉄道事業に係る事務手続等の簡素化

〔設計管理者制度における鉄道施設に係る認可・届出事項及び車両に係る確認・届出事項の簡素化〕

◎ 公害・廃棄物等

○ 水質汚濁防止法等に係る特定施設の設置手続の見直し

〔実施制限期間の短縮措置適用の明確化、審査終了後の実施制限解除の迅速化〕

○ 産業廃棄物処理施設及び処理業に係る事務手続の簡素化・合理化

〔産業廃棄物処理施設の使用前検査申請に係る添付書類の簡素化、産業廃棄物処理業等許可申請書類の適正化及び都道府県等の独自徴取書類の見直し、産業廃棄物処理業と特別管理産業廃棄物処理業との同時許可申請時における添付書類省略の徹底〕

◎ 基準・認証、輸出入手続等

○ 航空貨物用輸送器具(ULD)に係る輸出入手続等の見直し

〔ULDの修理実績報告の廃止〕

◎ 労働、福祉

○ 障害厚生年金等の受給手続の見直し

〔現況届における不必要な添付書類徴取の廃止〕

【改善に向け検討中の事項】

◎ 事業活動全般

○ 各法令における合併等に係る許認可等手続の簡素・合理化

〔保税地域の許可、有線テレビジョン放送施設の許可、有線ラジオ放送業務の届出及び検査業者の登録等に関する各承継規定の整備等〕

○ 許認可等事務手続の明確化・簡素化

〔合併等に係る建築士事務所の登録における申請添付書類の明確化・簡素化〕

◎ 運輸・交通

○ 臨時船舶建造調整法による船舶建造に係る規制の見直し

〔臨時船舶建造調整法の改廃を含む船舶建造許可制度の抜本的見直し〕

○ 大型車に係る速度表示装置の装備義務の廃止

◎ 公害・廃棄物等

○ 水質汚濁防止法等に係る特定施設の設置手続の見直し

〔実施制限期間の短縮、設置・変更届出書の別紙記載事項に関する様式の制定〕

○ 産業廃棄物処理施設及び処理業に係る事務手続の簡素化・合理化

〔産業廃棄物処理業等許可申請添付書類の様式の統一〕

○ し尿浄化槽等の設置に係る規制の見直し

〔し尿・雑排水と事業場排水を一体的に処理する設備又は施設に関する基準等の整備、住宅等に係るし尿浄化槽の処理対象人員算定基準の見直し、住宅に関する同基準のただし書きの運用基準の策定〕

○ ガラス電極式水素イオン濃度検出器等の検定有効期間の延長及び計量証明検査の周期等の延長

○ 移動式クレーンに係る規制の見直し

〔新規検定を要しない過負荷防止装置の変更範囲の拡大、変更届を要しないジブの相互使用化、変更届を要しないフックの共通使用化〕

○ 航空貨物用輸送器具(ULD)に係る輸出入手続等の見直し

〔ULDの輸出入手続の簡素化〕

◎ 労働、福祉

○ 製造業等における衛生管理者の選任に係る基準等の明確化・周知の徹底

○ 障害厚生年金等の受給手続の見直し

〔現況届にレントゲンフィルムの添付を必要とする疾病等の範囲の縮小及び明確化〕

(注)【改善に向け検討中の事項】については、いずれも改定計画又は再改定計画において、当該措置の実施が決定している事項である。


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